虎の巻|尿酸とは

尿酸・プリン体とは

尿酸とは

尿酸は、ヒトにおけるプリン体の最終代謝産物です。
尿酸は、ヒトにおけるプリン体の最終代謝産物です。プリン体とはプリン骨格という特定の化学構造を有する物質の総称で、生体の細胞内での遺伝情報をつかさどるDNAやRNAなどの核酸や、細胞のエネルギーの貯蔵を担うATPの素になります。このプリン体は食事から摂取されるルートと細胞内で生合成されるルートがありますが、細胞は、過剰に摂取・産生されたプリン体やエネルギー代謝により不要になったプリン体を、キサンチンオキシダーゼという酵素により尿酸に変換し、細胞から血液中に排出します。すなわち、尿酸は細胞の老廃物、エネルギーの燃えカスともいえます。
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体内に存在する尿酸の総量(尿酸プール)は、通常は一定に保たれています。
体内に存在する尿酸の総量を尿酸プールといいます。通常は、1日に約700mgの尿酸が産生される一方で、尿中に約500mg、汗や消化液など腎外経路に約200mgの計700mgが排泄されて産生と排泄のバランスがとれているため、尿酸プールは常に一定(健常男性の場合、約1200mg)に保たれています。
このバランスが崩れると、血清尿酸値が高まり、高尿酸血症となります。
体内に存在する尿酸の総量
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尿酸は、体液に難溶性であり、pH、温度などにより溶解度が変化します。
尿酸は血液などの体液に難溶性で、温度の低下やpHの低下(酸性化)が起こると尿酸の溶解度が低下し結晶が析出します。
140mMのナトリウム存在下、37℃の溶液では尿酸は6.8mg/dLで飽和となり、7.0mg/dLを超えるとわずかな誘因でナトリウムと結合し、関節や臓器に尿酸塩が析出しやすくなります。
温度と尿酸溶解度
尿酸ナトリウム塩の溶解度に対する温度の影響を検討した結果、140mMのナトリウム存在下における尿酸塩の溶解度は37℃で6.8mg/dL、30℃で4.5mg/dL、20℃で2.5mg/dL、10℃で1.2mg./dLであり、温度の低下に伴い減少しました。(Loeb JN: Arthritis and Rheumatism 15: 189–192, 1972)
pHと尿酸溶解度(尿中)
pHと尿酸溶解度(尿中)
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尿酸は尿酸塩沈着症の原因になります。
高尿酸血症は、持続することにより尿酸塩結晶(尿酸ナトリウム結晶)や尿酸結石が形成され、痛風を初めとする尿酸塩沈着症の原因になります。尿酸は、分子量が小さく、関節滑液膜の毛細血管壁を自由に透過できるため、血清と関節液の尿酸値は、ほぼ等しくなっています。そのため、高尿酸血症では関節液中に、尿酸塩の結晶が形成されます。
尿酸は尿酸塩沈着症
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尿酸の生体への作用には、「悪玉説」と「善玉説」があります。

尿酸は、尿酸塩沈着症の原因物質であり、尿酸が酸化ストレスを惹起するという生体にとっての有害物質(悪玉)としての側面がある一方、尿酸自体はもともと抗酸化物質としての性質があるため、発癌を抑制するなど有益物質(善玉)としての側面がうたわれてきました。
発癌抑制について現在は否定する報告も多いため、明確な根拠があるとはいえない状況です。今後、尿酸に関する研究が進むことにより、その生理的役割から病態への関わりが解明されることが期待されます。

用語解説

酸化ストレス:

生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、前者に傾いた状態。多くの生活習慣病の発症・進展に関与する

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